モーツァルト交響曲第37番

2020/07/05

モーツァルトの交響曲は35番以降はすべて有名で、とりわけ39番から41番は後期3大交響曲といわれるほどです。
私もモーツァルトの交響曲は大好きです。

ところが、37番だけは聞いたことがない、という事実をついさっき知りました。
指揮者の篠崎靖男さんの記事を読んでです。
ａｍａｚｏｎプライムミュージックでモーツアルトの交響曲全集などをＢＧＭで仕事をしていたこともあったので、てっきり耳にはしていたとばかり勘違いしていました。

この37番、実は欠番なんです。

なぜか？
そこには実にモーツアルトらしい都市伝説があるんですね。

時代は1783年10月。
前年に父親のレオポルドの反対を押し切って結婚したコンスタンツェとともに古郷ザルツブルクに行く道中に立ち寄ったリンツ。
そこで、トゥン伯爵の猛烈な歓迎を受け、11月4日にコンサートを開くことに。
そこで、交響曲を2曲披露してほしいとのオーダーを受けることになります。（1783年10月31日の日付で、モーツアルトから父親のレオポルドあてに書簡が書かれています）

公演はなんと4日後！
そんないきなりすぎる！

ところが、当時の交響曲は「つなぎ」的な位置づけで、メインの局の前後に演奏される機会が多かったというのを知ってびっくりしました。
ただし、モーツアルトは手持ちの交響曲がなく、大急ぎで交響曲の作曲に取り掛かり、無事大盛況のうちにコンサートが終了したそうです。
それにしても、この短期間で交響曲2曲を作曲するだけでなく、演奏までしてしまうというのは驚きです。大天才モーツァルトはもちろんですが、当時の演奏家たちの演奏技術にも感服します。
この日演奏された交響曲の1つがリンツでした。

ところが、もう一つに演奏された交響曲、いわゆる交響曲37番は、実は、モーツァルトの完全オリジナルではなく、有名なヨーゼフハイドンの弟のミヒャエルハイドンの交響曲第26番にモーツアルトが作曲した前奏曲を加えたものでした。
それがわかったときにはすでに、38番以降の番付がされており、その番号とともに広く浸透していたために修正かなわず、結果として37番の交響曲は欠番となったわけです。

なぜこんなことができたかというと、それ以前、ミヒャエルハイドンが体調を崩した際に、モーツアルトがゴーストライター的に作曲したことがあり、そのお返しということで、手が回らなかったモーツアルトがミヒャエルの曲を拝借したということだったそうです。
現代なら、著作権法上問題になるでしょうが、当時はこういった貸し借り、持ちつ持たれつというのは一般的にあったそうです。

ところが、最近になって、このミヒャエルハイドンから拝借して前奏曲のみ加えた交響曲の楽譜。この楽譜の書かれた五線譜が、1783年当時ではなく1784年の期間限定で使用されたものであることが判明しました。
つまり37番交響曲だとされた曲は実はもっと後のものだったんですね。

でもリンツでの演奏会では交響曲が2曲演奏された・・・・
演奏会の数日前のモーツアルトの手紙では、手持ちの交響曲はないのでこれから新作を作曲する旨が書かれている。
となると、リンツと一緒に演奏された交響曲が実はあった！

ということになりますよね。
35番から41番はすべて有名なだけに、この幻の37番交響曲。
発見されるといいですよねぇ～。
人生の楽しみがまた一つ増えました。

せっかくなので、交響曲36番リンツを聞いてみました。
モーツアルトらしい軽快で陽気で一寸の無駄もない名曲。
おそらく、譜面にはしていないけれど、依頼時には頭の中に完成されてたんだろうなぁ。でも、それを数日で譜面に落とす。それだけでも脅威ですが。

さて、昨日（土曜日）の朝食です。

いつものヨーグルト。